監督の読み解きと撮影エピソード 17

ルイーズたちは、乳歯を検査することで、アメリカの子どもたちの被曝を証明した。

そして、それを科学誌「サイエンス」に投稿した。

それは素晴らしく見事な戦術だった。

アメリカ大陸が放射能によって住めなくなるかもしれないという危機的状況の中で彼女たちの行動は、共産主義のレッテルを貼られた。様々な要因を考えると、もし、焦って、新聞で発表していたら、その信ぴょう性が疑われていたかもしれない。

実際、福島原発事故後、小児甲状腺癌が多発しているが、それは「検査をし過ぎたため」という詭弁が、あたかも事実であるかのようにまかり通っている現実がある。

メディアもそれに追随している。

60年前のアメリカでも、同じようになっていた可能性は十分にある。

そして、もしルイーズたちの活動が失敗していたら……828回の地下核実験が地上で行われていた可能性がある。

その場合、アメリカ大陸は高濃度に放射能汚染され、人の住めない場所になっていただろう。

もちろん、それはアメリカ大陸には留まらない。

アメリカで上映した際、観客が固唾を飲むシーンがある。

それは、エリックが思い出を語る場面だ。

幼いエリックが受話器をとると、「ジョン・ケネディだけど、ママいるかな?」。

この言葉に皆、息を呑む。

アメリカ人にとって、それは特別なことなのだ。

「母は階段を駆け上がり、しばらく降りてこない。

ミートローフは冷めてしまう」。

なんだか詩のようだ。

2階で、母ルイーズが大統領と話しているのだ。

そのシーンでは、客席からはため息が漏れる。

キューバ危機も非常に緊迫感のある事件だった。

しかし、こちらは静かだが緊迫感に満ちた奇跡の歴史的事実だ。

ルイーズとケネディの会話は想像するしかないが、まさにアメリカを救った、重大な歴史の一コマだった。

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映画「SILENT FALOUT」最新版トレーラー  

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