2025・26年EU上映ツアー in ドイツ編⑤

2025年9月下旬から11月上旬にかけて、フランス、ドイツ、フランスと上映会が行われました。上映会を見にきた方がまた上映会を企画してくださるという「輪」が26年も続いています。
前回に引き続き、梶川ゆうさんからのレポートです!

2026年2月8日(日)ハノーファー郊外ブルクドルフの映画館ノイエ・シャウブルクにおける上映会 

主催:映画館ノイエ・シャウブルク(ハノーファーでの上映会に参加してくれた知人夫婦が、自分の町でもぜひ見せたいと、地元のアートハウス映画館に掛け合ってくれたことで実現)

旧ソ連が核兵器開発をして核実験をした事実は知られているが、その核兵器をつくるのに、旧東ドイツと旧チェコスロヴァキアのウラン鉱山から取り出して濃縮したウランを使用した。

そしてその際に出る放射性廃棄物を、古くなって廃棄されるタイヤと一緒に、なんら放射線防護の対策もせず、埋め立て処分場に持ち込んでいた、という事実をこの知人の男性の方(ゲルト・ボーネ氏)が知って調査し、それを推理小説にしている(私もその著書をサイン入りでいただいた)。

そのことから彼とパートナーの女性(クラウディア・ルス氏)はここ数年、放射性廃棄物問題と向き合っていたことから、私が2年前にドイツの中・低レベル放射性廃棄物処分場に見学に行ったおり、一緒になって、知り合いになったのだ。それで、私が去年、サイレントフォールアウトをハノーファーで上映するときも見に来てくれ、この映画に感動し、ぜひこれを自分の住む町でも見せたい、と上映会を実現してくれたのだった。

上映会を実現してくれたGerd Bohne氏とClaudia Russ氏ご夫妻と、彼の著書を前に記念撮影

田舎町の映画館だから小さいものかと想像していたのだが、とても大きい老舗の映画館で、今の映画館オーナーのお母様が始めたというアートハウス映画館で、プログラムも豊富で、訪れる人も多いようだった。サイレントフォールアウトの上映会は日曜のマティネーで、寒い冬の日曜の昼間にどれくらいの人が来てくれるのか、去年秋のハノーファーでの上映会ではあまり観客が多くなかったので、今回はどんなものかと案じていたが、口コミで宣伝をしてくれたこともあってか、40人近くの人が見に来てくれた。

最初にクラウディアから紹介があり、私も簡単に伊東監督の代わりに挨拶をしてから、上映をした。そして上映終了後、質疑応答と意見交換が行われた。

この映画の一番のメッセージである「誰でもどこでも例外なく、フォールアウトはある、安全な場所、何の影響もなかったところなどない」という話をたくさんの人が印象的に感じたらしく、ヨーロッパの核の傘の構想などが問われ、また核の脅威が高まっている現在こそ、この意識を高めることが大切、という意見が出た。核兵器は「防衛」のための手段にはなりえないこと、それはなぜなら核兵器は大量殺りく兵器であり、国境などを無視して人類を、生物を滅ぼし、長期にわたり苦しめ、環境も破壊するものだから、ということを皆で確認し合った。この映画を作ってくれたことを感謝する声もたくさんあった。

この日、上映会に来てくれた人の中には、ハノーファーで一度映画を見てから、もう一度しっかり見たいから、とハノーファーからわざわざ足を運んでくれた女性もいた。彼女は、核撲滅平和運動に参加しており、今年の9月に、核兵器禁止条約発足から5年を記念した催しが行われるが、ぜひそこでもサイレントフォールアウトを上映したいので、ぜひ伊東監督に上映を許可してほしい、と言われている。

質問の中に、この映画をアメリカで上映できたか、というのがあったので、もちろんすでに上映会ツアーを行っているが、今年はアメリカの配給会社が見つかったことから、もっと大規模にアメリカ各地で見られるようになるのではないか、と答えておいた。

この記事を書いた人

村田くみ