監督の読み解きと撮影エピソード 12

僕らは、オーシャンシティを目指した。

『Radioactive Baby Teeth』の著者、ジョセフ・マンガーノに会うためだ。

我々に許された取材時間は3時間。

マンガーノとも交流のある、広島原爆の被曝2世、しほ・バークが、地元の図書館を用意してくれた。

マンガーノは、乳歯の入った箱をもって現れた。

僕は、その箱に少なからず興奮した。「これが、あの歴史を変えた乳歯たちだ」と。

マンガーノは、実際の乳歯を手に取り、一つ一つ丁寧に語ってくれた。

この映画の根幹となるインタビューとなった。

取材を終え、セントルイスに移動した時だった。

マンガーノから連絡が入った。

「興味深い論文がある。書いたのは、まだ若い研究者だ。是非、彼に会うといい」。

論文を読んで驚いた。

僕が映画で描きたかったことが、そのまま書かれている。

論文のタイトルは、「核爆弾に反対する母親たち」。

鳥肌が立った。書いたのは、ルーク・リッター。

「これだ!」と思った。

彼の論文が映画の骨組みになる。

しかし、ルークのインタビューを収録するためには、取材日程を延長するしかない。

しかも、彼はニューメキシコに住んでいる。

直ぐに連絡をとった。

なんとルークは、僕らの日程に合わせ、セントルイスに来てくれると言う。

しかし、費用がない。

「お礼もできないし、ちゃんとした宿をとることもできなくて申し訳ない」と言うと、ルークは、「OK。大丈夫。泊まるところはあるから。実家に泊まるから大丈夫だよ」と。

そう、セントルイスはルークの故郷だったのだ。なんという偶然!なんという幸運!

ルークのインタビューには、昼を挟んで丸一日を費やした。

僕らもルークもヘトヘトだった。

しかし、このインタビューが、映画の完成に向けて、もやもやした僕の思考をとてもクリアにしてくれた。

キーワードは、「女性の行動が社会を変える」「健康と命を守る」。

それこそが、放射能から地球を救う唯一の手立てであり、半世紀以上前にアメリカ大陸を放射能から守った、強烈な現実なのだ。

そこには希望がある!60年前の彼女たちが実証してくれているではないか。

アメリカの放射能に対する考えが変われば、世界が変わる。当然、日本も変わる。

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映画「SILENT FALOUT」最新版トレーラー  

〈日本語版〉

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〈English〉 

[Latest version trailer]

Latest version trailer of the movie “SILENT FALOUT”

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SILENTFALLOUT