2025秋・EU上映ツアー in ドイツ編③

2025年9月下旬から11月上旬にかけて、フランス、ドイツ、フランスと上映会が行われました。
前回に引き続き、梶川ゆうさんからのレポートです!

25年10月6日ダルムシュタット市レックス映画館での上映会
主催:ダルムシュタット平和フォーラムFriedensinitiative Westpfalz西プファルツ地方平和イニシアチブNPO

ダルムシュタット平和フォーラムには、レギーナ・ハーゲンという反核運動ベテランの女性がいて、この人が中心になって今年、ヒロシマ・ナガサキ原爆投下から80年を記念して、核問題を扱う映画を4作、地元のアートハウス映画館で上映し、その他にも展示会や講演会、ディスカッションなどの一連のプログラムを企画した。このグループは定期的にこの映画館と協力し合って上映会を催しているということだった。

今回上映された4作の最後の作品がサイレント・フォールアウトだが、その他に上映された作品は「ザ・デイ・アフター」「太陽が落ちた日」「風が吹くとき(アニメ版)」だ。伊東監督が来られなかったことを皆とても残念がっていたが、ハーゲン氏は伊東監督のこともサイレントフォールアウトのこともネットで詳しく調べてあったし、核実験、核兵器に関する知識ももともと深いこともあり、彼女の司会で進められた上映後のトークはとても充実していた。

あいにくの雨天で、会場には26人しか訪れなかったが、皆ディスカッションが10時近くに終わるまで残って話しに耳を澄ませていたし、質問や感想も活発に会場から出た。伊東監督は、この映画を特にアメリカ人に見せて、放射能被害は遠い国の出来事ではなく、アメリカ人も同じように被害者なのだ、ということを伝えたいために制作した、ということだが、実際にアメリカでの反応はどうだったのか、という質問がここでも出た。ドイツでもチェルノブイリ原発事故後、フォールアウトが風に乗ってことにドイツ南部を襲って土壌を汚染したので、その時の影響でバイエルン地方では例えば、今でも野生のイノシシやキノコは放射能汚染されている。アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の核実験の影響、チェルノブイリ、フクシマなどの原発事故の影響、核のゴミ、原発・核施設周辺で出される放射線などがずっと地球全体を汚染していて、汚染されていない場所はどこにもない、というマンガノ氏の映画の最後の言葉が会場で繰り返された。

また、ケネディ大統領は、イギリス、ソ連の間で部分的核実験禁止条約(PTBT)を1963年にモスクワで調印したが、この条約では、地下を除く大気圏内、水中、宇宙空間での核実験を禁止するものの、地下核実験は禁止されなかったこと、そして1996年にやっと、宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる空間での核兵器の核実験による爆発、その他の核爆発を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)が国際連合総会によって採択されて翌年1997年に批准されたが、いまだに核兵器保有国を含む44か国が批准していないため、未発効だ。

従ってアメリカも、イスラエル、イラン、エジプト、中国が署名のみで批准していないし、朝鮮、インド、パキスタンは署名すらしていない。核爆発を伴わない未臨界核実験はこの条約の対象ではないため、アメリカとロシアで臨界前核実験は繰り返し行われているし、インド、パキスタン、朝鮮はそれから核実験を行っている。そして今、第二次トランプ政権のもとで、再び核実験を行うという議論がされているそうだ。またトランプ政権下で、このサイレントフォールアウトに出てきたような風向きの情報やその他のフォールアウトの情報などがどんどんインターネットで見られなくなってしまうのではないかという懸念も増加した。 そのことも含め、今もう一度核兵器を持つ、それによって「抑止力」を持つなどという考えがいったいどういうことなのか、ということを考え直す必要がある、と言い合って、この上映会はお開きとなった。

この記事を書いた人

村田くみ