2025年秋・EU上映ツアー in フランス③

昨日に続き、EU上映ツアー・フランス編、よそものネット・フランスの飛幡祐規(たかはたゆうき)さんのレポート(facebookからの転載)です。

25年10月20日ラ・フレッシュ 21日ル・マン

10月20日はラ・フレッシュ、21日はル・マンと2夜続けて、サルト県でサイレント・フォールアウトの上映を行ないました。現地の反原発団体と平和運動など市民団体が主催したものです。伊東監督がヨーロッパに来られなかったので、彼の意図を伝えるためにパリから私が2つの町の映画館に出向きました。

20日のラ・フレッシュのLe Kidという映画館は、近年できて町民に親しまれている映画館です。20人弱と人数はそれほどではなかったのですが、上映後とても熱心に質疑応答が交わされました。
映画の最後に「世界中が核実験の影響を受けた」という指摘に反応して、「自分たち自身にふりかかると知りながら、どうして原子力を続けるだろう?」と憤慨したコメントを観客の女性が述べました。この映画がアメリカでどんな反応があったか、配給があったのかという質問があったので、これまでの自主上映に続き、来年から配給会社が決まったので一般公開されることを伝えました。
主催者の方から、アメリカ国内で被害者の賠償問題が強くなってきたため、チェルノブイリ事故の後にアメリカや国際原子力推進勢力は、チェルノブイリ事故による放射能汚染の矮小化に努めたという指摘があり、フランスでも常に原発での事故や被曝問題が矮小化されていることが強調されました。

福島事故後の健康被害についての質問もあったので、国が行なっている唯一の検査は、事故の時に福島に住んでいた未成年に対する甲状腺の検査だけで、それによって癌が多数見つかっても事故と関係ないとされてしまっていること、事故後に測定と疫学検査が行なわれなかったために、病気や死亡の増加を統計で証明できない(そのようにしくまれた)ことなどを述べました。

10月21日のル・マンの自主映画館での上映には30人弱が集まりました。なぜアメリカの核実験被害者のドキュメンタリーを監督は作ったのか、という質問にまず答えました。第五福竜丸以外にも太平洋での核実験で被害を受けたたくさんの漁船に乗っていた人々について調査し、ずっとドキュメンタリーを作ってきたが、アメリカ本土にも被害者がいることを広くアメリカ人に知ってほしいと願ってこの映画を作った。
また、女性、母親たちの運動の重要さを示したかった点も強調しました。それと繋げて、日本でも第五福竜丸事件後の核実験反対の署名は主婦が始めて非常に大きな動きとなり、そこから日本の反核運動が生まれ、広島・長崎の被爆者たちの運動、日本被団協も結成されたことを伝えました。原子力を推進してきたのは男性のエリート科学者や政治家で、彼らには植民地主義と差別主義があり、廃棄物のことなど全く考えなかった(自分で掃除やゴミの処理をしない人たち)と指摘しました。

魚類の放射能汚染についての質問もあり、少ないとされる放射能物質でも食物連鎖で濃縮されることを強調しました。

サルト県の反原発団体の代表は、核抑止論が意味をなさないことを強調し、フランスの再軍備に向けて多額の予算が勝手に決められたことを告発しました。また、実現の見込みがないのに新原発、SMRにどんどん予算が注がれる不条理、気候変動に対してフランスの原発が脆弱な点など、多くの問題点が指摘されました。劣化ウラン爆弾についての質問もありました。

現在フランスでは軍事核と原発再推進についての批判をメディアは流さないので、こういう上映会で情報を得られるのはありがたいという観客もいました。戦争に向かう動きへの反対運動をどうやって強めていけるのだろうかと若い観客から質問がありました。このテーマで昨年から若い人たちの運動が生まれています(guerre à la guerre)が、大きな発展が望まれます。アメリカ本土での核実験による被害について知らなかった若い人たちもいて、認識を深める良い機会になったとのことです。

25年11月7日クール・ラ・ヴィル
杉田くるみさん(遠くの隣人3.11)のfacebookから転載

金曜日、フランス南東部にあるクールでサイレントフォールアウトの上映会がありました。

主催はフランス領ポリネシア出身のアラキノさん。フランスによる核実験の被害者の認知と権利の為に活動されています。

この地方は、保守的な政治傾向で極右の政党「国民連合」が強く、なかなか難しい上映環境です。

会場はアラキノさんが経営している、できたばかりのカフェバーです。

こういう場所での上映は今までのツアーの中では初めてで、なかなか斬新な経験でした。他にも社会活動の拠点となるカフェバーでの上演申し込みがあったのですが、実現したのはこれが初めてです。

参加者は少なかったのですが、これからの活動のステップを刻んだという印象です。

ここのところ、原発立地の町や今回のクールなど、政治的に難しい場所での上映が続いています。原発がある街は原発推進の人たちが多く、このようなイベントへの動員はとても難しいのです。しかしだからこそ、このようなところで小さくても上映会を重ねていく意味はあると思います。

11月末にももう一度モンテリマールと言う原発の町で上映会があります。

直近は11月12日グルノーブル近郊での上映会です。

この記事を書いた人

村田くみ