前回に続くに続き、EU上映ツアー・フランス編杉田くるみさん(遠くの隣人3.11)のレポート(facebookからの転載)です。
25年11月12日 グルノーブル ラ・トロンシュルッド
11月12日、グルノーブルの郊外ラ・トロンシュでのサイレント・フォールアウト上映会の報告です。
主催は現地の市民団体「トロンシュルシッド」、会場は「雪のそよ風クラブ」
とても素敵な会館のアットホームな部屋での上映会でした。
環境って大事ですね。部屋の雰囲気のせいか上映会も、後のディスカッションも和気藹々の雰囲気でした。

約30人弱の参加でした。
登壇者は『遠くの隣人3.11』から、ソーニャ・マルモッタンさん、私の2人でアニメーターは同じく遠くの隣人のメンバーで現地の市民活動もしているクリストフ・ブルムロさんでした。
意見としては、『女性たちの運動に共感し、感動した。希望が持てる』と言うのが皮切りでした。それから前にも出たのですが、乳歯調査を疫学調査として使うことはできないのかという質問もありました。そういう調査設計ではないのですね。疫学調査というのは設計が大変だし、他の因子を外していくためにも参加者の生活や健康に関する追跡情報が必要なはず、、、まぁこういう意見が出るのは、乳歯調査のスケールに感銘を受けた証左でしょう。
ソーニャさんが、この当時はまだコンセプトもなかったけれども参加型研究の先駆けのようなものだと評価していました。確かに。あるいは、研究者も重要な役割を担っていたのでアクション・リサーチの先駆けとも言えますね。
最後は ワインやジュースを飲みながら交流。
本当に和やかな上映会でした。


25年月11月28日 モンテリマール シネマ・テンプリエ
11月28日、南仏のモンテリマールでのサイレント・ファールアウトの上映会の報告です。
ノルマンディ地方のコタンタン半島(ラ・アーグ再処理工場などがあるところ)と並んで、この地方はフランスで核施設が最も集中しているところです。原発だけでなく、ウラン濃縮工場、老朽MOX製造工場、ちょっと離れますが原発で使う燃料棒のアセンブリー工場(燃料ペレットを被覆管に詰めて燃料棒とし、数十本の燃料棒を束ねた集合体にアセンブリーする)もあります。フランス全土に散らばっている原発が操業するには、南仏のウラン鉱石を精製し、核燃料用の四フッ化ウラン(UF4)を製造するマルヴェシー工場、この地方はじめコタンタン半島を列車やトラックが縦横無尽に走っているわけで、それだけでも汚染を撒き散らしているわけです。
下の写真はフランスの核・原発施設、ウラン鉱山の残渣、核廃棄物などの地図です。赤で囲ってあるのが、モンテリマールの周辺、青で囲ってあるのがコタンタン半島です。
ご覧のような核施設集中地方なので、雇用や地方自治体への交付金のせいで核・原発推進に賛成する人たちが圧倒的に多く、反核・脱原発運動はごく少数の人たちで支えられています。
かつ、この辺りは極右政党が強く、活動するする人たちはかなりのリスクに晒されています。
会場はモンテリマールの小さな映画館。参加者は少なく20人くらいでしたが、こういう環境で途切れることなく、圧にめげず、反核・脱原発のイベントを続けることはとても大事です。

前回のサン・ポール・トロワ・シャトーでもそうでしたが、主催団体はドローム県のフレンド・オブ・アース(FoE)、フランス語ではレ・ザミ・ド・ラ・テールと言います。
最近の環境団体は原発推進になっているところが多いのですが、彼女たちはエネルギュッシュな脱原発活動家たちです。
上映後のディスカッションに登壇したのはサン・ポール・トロワ・シャトーと同じく、私と、市民測定研究所クリラッドのデボルドさん、この近辺のストップ原子力のマルヴォーさんです。
質問では、広島・長崎の原爆は核兵器の「実験」として投下されたのではないか、というのが皮切りで、確かにマンハッタン計画を指揮したレズリー・グローブスはbattle test(実戦テスト)という文言を使っていて、実際に原爆の軍事的有効性やその後の住民へのエフェクトを綿密に調査していますので、それは言えると答えました。またいわゆる「核実験」の際にも同じことが言えるけれども、サイレント・フォールアウトに登場する風下被害者は原爆被爆者のような疫学調査の対象にはなっていない、とも付け加えました。そしてもちろんABCCが治療ではなくデーター収集しかしなかったことも、LSSの調査の弱点(1950年に開始しているので、それまでに亡くなった人たちのデーターが入っていないし、外部被ばくしか考慮に入れていない)にも言及しました。東電福島第一原発事故についても質問が出たので、こちらの方は原爆とは対照的で、調査しない、というのが目的になっていること、調査しないから、健康被害の実態がわからず、わからないから、被害はないことにする、という構図だと話しました。
登壇者のマルヴォーさんが、この地方はものすごく核・原発施設が集中しているので、疫学調査が必要だと訴えました。本当にその通り。そして、疫学調査のような大規模で何年にもわたる追跡型調査は莫大な予算がかかるし、またフランスでは医療情報というのは最も守られないといけない個人情報で管理が厳しいので、公的調査でないと無理なのです。
デボルドさんは乳歯調査の目の付け所の素晴らしさ、これを推し進めたルイーズ・ライスの意志の強さを讃えておられました。
これで年内の私の担当の上映会は終了。最後は12月13日、ロワール地方での上映ですが、そちらはパリから飛幡祐規(たかはたゆうき)さんが行ってくれます。


