日本映画ペンクラブ推薦

< Reason for Recommendation > “X Years Later” Recommendation

≪推薦理由≫ “X年後”推薦の辞

“Nuclear – Hiroshima, Nagasaki” didn’t feel so familiar to me as a generation that didn’t know about war.

戦争を知らない世代の私にとって『核―広島、長崎』はそんなに身近に感じられるものでなかった。

For me, the “horror of radiation” was the “Fifth Fukuryu Maru,” which was exposed to radiation by the American hydrogen bomb test at Bikini Atoll.
Therefore, the keloid of “Aikichi Kuboyama,” played by Shigekichi Uno in the movie, was the cause of my childhood fear.
Even as an adult, the issue of the bikini bombing was trivialized by the shocking “The Fifth Fukuryu Maru.”
Watching “X Years Later,” I wondered why the creators of “Nankai Broadcasting” in Ehime, Shikoku, made a video about the bikini bombing.
It was a testament to my lack of study ・・・


私にとって“放射能の恐ろしさ”は「ビキニ環礁でアメリカの水爆実験で被爆した『第五福竜丸』」だった。
だから映画で宇野重吉が演じた“久保山愛吉”さんのケロイドが幼い私の恐怖の因だった。
それから大人になってもビキニの被爆問題はショッキングな『第五福竜丸』だけに矮小化されていた。
この“X年後”を観て何故四国愛媛の「南海放送」の制作者がビキニの被爆問題を映像化したのか不思議に思った。
全く自分の不勉強さの証左であったわけで・・・


昭和20年代後半南太平洋には日本全国のマグロ漁漁船が多数出漁していた。
当たり前のことだが、「被爆したのは『第五福竜丸』だけではなかった。」わけ。
さて、私が特に個人的にこの映画を推薦したいのは、監督がローカル民放局のディレクターであることだ。
民放に身を置いた者としては民放特にキー局が最近ほとんどドキュメンタリーを制作しなくなった事、
それは悲しい現実であるそんな困難な状況で良質のドキュメンタリーに出会うことは至福である。
今や映像でも、音声でもドキュメンタリーを担っているのはローカル局の心ある制作者だけであるといっても過言ではない。
レイティング至上主義のキー局が束になってもかなわない志のあるドキュメンタリーを熱烈に支持するものである。

日本映画ペンクラブ会員・元ラジオディレクター
柳澤 和三

この記事を書いた人

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