監督の読み解きと撮影エピソード 21

実は、この事実を知ったのは、2004年、マグロ船乗組員の被曝事件に出会い、取材を始めた当初だった。

太平洋で行われた水爆実験による放射性物質の広がりが緻密に記載されているアメリカ原子力委員会の文書を入手したからだ。

当時、ある研究者からその存在を聞き、アメリカエネルギー省のライブラリーを検索していたところ、同じ文書にも関わらず、データ量の重い文書を発見した。

それは、黒塗りになって消されていた部分が、そのまま読めるものだったのだ。

そのことで重要なデータが確認できることになった。

担当者が、忘れていたのか、手違いなのか、それはわからない。

それから10数年後、アメリカで、その事実を確認したいと思い、放射線の専門家や団体などを訪ね、意見交換する機会を何度か得た。

ところが、それは、僕にとって驚きの連続となった。

著名な研究所の専門家チームに対して、先の放射性物質の広がりのデータをアニメーション化して、その広がりをノートパソコンで動画で見せると、みんな頭を抱えて「オーマイガー」と声を上げたのだ。

ぼくは、あっけにとられた。

彼らは、知らないのだ。放射線の専門家が知らないのだ。

その様子に、僕が、オーマイガー、と言いたかった。

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